ヨガニドラ(ヨガニードラ)とは
うん?聞いたことないな。という方も多いヨガですが、効果も多岐に渡り自己改革、願望が叶うという実は凄いヨガなんです。願望が叶うというとスピリチュアル系?と思われがちですが、解剖学、哲学、脳の仕組み、潜在意識、心理学などの要素を含みインストラクターのガイドを聴きながら体から精神へ意識の方向づけをし委ねていくと「いつに間にか深いリラクゼーションに導かれ願望も引き寄せてしまう」と、ちょっと説明しづらいヨガです。
私の場合も誰かに説明する時に「なんだかわからないけど凄いのよ」、と
よく言っていましたし、自分が指導する側になってからは
魔法ですか?
なんか催眠術とかかけました?
実はお医者さんですか?
と、言われた事もありますが
ただのヨガ講師です。
ヨガニドラは「寝たまま行うヨガ」や「ディープリラクゼーション」とも言われ、
ヨガニドラにはリラックスするだけではない素晴らしい効果があり、受け手の未知の可能性を引き出すヨガでもあります。
ヨガニドラのNIDRAは眠りという意味ですが
寝たまま行うからではなく、眠りに落ちるか落ちないかのまどろみの状態に
インストラクターのガイドで導きます。
なぜまどろみの状態に導くのかというと、まどろみの状態の脳波はリラックスの脳波α波
よりさらに深いリラックスまどろみの状態のθ波となります。
θ波は体と脳は回復、修復、補充、エネルギーを充電してくれる脳波で、ここに留まる練習がヨガニドラです。
ストレス社会にこそヨガニドラ
現代社会はストレス社会。便利になる一方で常に刺激にさらされています。ストレスを減らしたいと願いますが、実際には減らせないまま持ち続けてしまう、不安が不安を増殖さるなどストレス過多の傾向が強い方が多いのも確かです。
ストレスを溜めないようにと、アドバイスは受けますがどのようにしたら良いのか方法が見つからず、ストレス解消ができればこんなに悩まないよ。と、思う方も多いのではないでしょうか?ストレスにさらされている状態では交感神経が常に優位となり体も脳も
「質の良い休息」を得ることができないため疲弊します。
ストレスとは常に刺激にさらされている状態でもあり、
何かやるぞというアクセルを踏む交感神経が優位な状態です、
休息や補充をするためのブレーキを踏んで休む状態が副交感神経が優位です。
現代社会はこのアクセルを踏んでいる交感神経優位になりやすいとも言えます。
アクセル=ストレスとも言い換えることができますが、ストレスとは人間関係のストレスだけではなく、目から入ってくる情報、スマホやPC、インターネットの情報、機械音、車や電車の音、飛行機の音、緊急車両の音、急激な暑さや寒さによる反応もストレスでもあり、
私たちの五感は心地よい刺激ではなく不快な刺激が長く続けば続くほど常に不快に刺激されているため交感神経優位となり「質のよい休息」ができないまま疲れストレスが蓄積されていきます。 沢山寝たのに疲れが取れない事を経験したことがあると思います。このような場合、アクセルとブレーキのバランスが崩れ、アクセルを踏みっぱなしの状態になり体の疲れだけでなく脳の疲労が充分に回復できず寝ても疲れが取れないとなります。
現代社会にこそ必要なヨガニドラ
文明社会以前にももちろんストレスはありましたが、現代社会のストレスはより複雑化、長期化しやすいといわれます。核家族化、メール、LINEの普及で直接話さないなどコミュニケーションを取る機会が減っています。
よってストレスを感じても話す人がいない、会社でもメールでの会話はするけど直接は話さないなど、人と人との繋がりや自分安心できるコミュニティがないなどストレスを減らす方法を見つけることが難しいのも確かです。
解消されないまま持ち続けるストレスはやがて心身の不調にも繋がります、
そうなる前になんらかの方法でストレスを自分のキャパが超えない所まで減らす事が必要です。
ヨガニドラを勧める理由
ヨガニドラは短時間で「質の良い休息」「回復、修復、補充」得ることができるヨガです。
ヨガニドラは1時間の練習で4時間の熟眠に、20分の練習で1時間の熟眠に値するともいわれています。
常に刺激にさらされているからこそ現代社会に生きる私たちはアクセルとブレーキのバランスを取るためにも意識的に休息をとる必要があるのです。インストラクターのガイドを聴くだけなのでヨガをしたことがない方も入れやすいヨガです。 ヨガのレッスンをわざわざ受けに行かなくても自宅で寝る前にできる、体を動かさなくても聴くだけでよい。筋力も柔軟性も年齢も関係なく誰でも気軽にだきるのも魅力です。
短時間で深いリラクゼーションを得られる理由
なぜこのような短時間で深いリラクゼーション、休息、回復、修復、補充が可能なのでしょうか?それはヨガニドラの構成が外側から内側へ、体から精神的なものへインストラクターのガイドによって導かれ自然と瞑想状態や潜在意識の領域に誘導され脳波はα波とθ波を行き来し深いリラクゼーション効果を得る事ができるからです。それはヨガニドラの構成にヒントがありますので以下で紹介します。
ヨガニドラの構成とは
1、筋弛緩法
体に緊張を作ってから緩めるリラクゼーション法。
特に四肢、背中、顔に一度力を入れて、抜く事を数回繰り返します。
人は集中してくださいといってすぐ集中することは難しく、体を私たちの自己の中で一番粗雑な部分、パンチャコーシャでいうとアンナマヤコーシャからアプローチすることで次のレイヤー(内側)に向かいやすくなるのです。
2、プラーナヤーマ(呼吸・調気法)
プラーナヤーマは調気法、呼吸のコントロールを意味します。ヨガにはいくつかのプラーナヤーマがあり、ヨガニドラではリラックスするプラーナヤーマを選びます。ナディショーダナ、ウジャイ、ディルガはリラックスを促します。難しいようであれば吐く息を長めに意識した深呼吸も効果的です。アンナマヤコーシャからさらに内側のプラーナマヤコーシャのレイヤーになります。
3、サンカルパ
ヨガニドラのレッスンを受けた事がある方は「サンカルパを唱えましょう」と言われ、スピリチュアル系?と思った事がある方もいるかもしれません。
サンカルパとは願望、決意のことです。
顕在意識は5%、潜在意識は95%ともいわれています。普段起きている時が顕在意識です。95%もある潜在意識はほとんど使われていない状態で、寝ても活動はお休みしない自身の未知の可能性を秘めた領域です。
ヨガニドラでサンカルパを唱えるのは脳波がまどろみの状態θ波、潜在意識の領域にでは理想と現実の区別がつかず繰り返し潜在意識に落とし込むことで、あたかも現実であると脳が勘違いします。
脳は否定形を理解できないため肯定系、断言する、叶っているかのようにサンカルパを唱えると、まどろみθ波、潜在意識の状態でそのことについて考えます。繰り返し唱える事で脳は本当だと理解しリソースを集めはじめるのです。
4、ヴィジュアライゼーションまたはイメージング
ここでは五感をフルに使い出来るだけ鮮明にイメージします。
ヴィジュアライゼーション
イメージする事柄を3〜10個ほどその言葉を3回ずつガイドします。私たちの心は何かに囚われていて特に嫌なことやストレスがある時は心は自由ではないのです。スイッチを替えるようにヴィジュアライゼーションをすることで、囚われている自由ではない心を意識の方向付で自由にする練習をします。
イメージング
起承転結のある物語をイメージします。イメージングのガイドは癒し、人間関係を円滑にする、相手を許す、役割を手放す、自己肯定感を上げる満たされているなど、内容を変える事で払拭したい事、目的別のイメージングをおこなう事ができます。ヴィジュアライゼーション同様囚われている事から意識を離す練習にもなります。チャクラの色を入れたり二極を感じるような自律訓練法をいれる事ができます。
5、ボディースキャン
体を細かく意識することで意識したと同時にリラックス、癒される、満たされると感じます。脳には運動野、知覚野という場所があり、体と繋がっています。ペンフィールドの脳マップに脳の運動野、知覚野に体の部位とその大きさが示れています。特に手や顔は他の体の部位より大きく感じるのでヨガニドラでも手のひらを意識する、顔のパーツを意識する事をします。体の部位を意識することで繋がる脳も同時にリラックスする技法です。
再度3、4、を入れても可
6、シャバアーサナ
ヨガニドラも最後にシャバアーサナをします。シャバアーサナではできるだけ無音を作ります、海の底に横たわるような深いリラクゼーションへ自然と導かれていきます。
7、目覚め
ヨガニドラの余韻を感じたまま目覚めます。ぼーっとする、スッキリする、眠くて仕方ない、感想はそれぞれですが共通しているのは終わったあと元気になること、自分が緊張していたことに気づくこと、笑顔になり、穏やかになることです。
θ波に留まることでエネルギーを充電して、深いリラクゼーションで体の緊張を解くことで今まで自分では気づかなかった強ばりや力みがあったことに気づきます。お顔の表情が始まる前と終わってからでは別人のようになる方もいます。それ位ヨガニドラは短時間でも多岐にわたる効果を得ることができるのです。
眠ってしまって覚えていないけど大丈夫?
多くのお客様が最初のうちは寝てしまいます。しかし先述で述べたように潜在意識はお休みしないのでインストラクターのガイドは聞こえ潜在意識はそのことについて考えているのです。インストラクターはお客様が寝てしまっても問題ない事や覚えていない場合がほとんどなので何をしたのかがわかるヨガニドラの構成や、これから何をするヨガニドラの内容のかかわかるチラシなどを配ると親切です。
受け手の方は回数を重ねると意識の手綱を持ったままガイドを聴き体と心を緩める事ができるようになりますので焦らず繰り返してみてください。
構成のまとめ
ヨガニドラの構成は「外側から内側へ」「粗雑から微細へ」「体から精神へ」向かうためにこのような構成となっています。
※コーシャとは
パンチャコーシャ(人間五臓説)タリッテーヤウパニシャッドに記され人間の魂(アートマン)は5つの鞘に覆われているというヨガ解剖学。
外側から
アンナマヤコーシャ(食物鞘)体
プラーナマヤコーシャ(生気鞘)気
マノマヤコーシャ(意思鞘)心
ヴィジュナニャマヤコーシャ(理智鞘)精神
アーナンダマヤコーシャ(歓喜鞘)愛、恍惚
マヤは外見であり私たちはその外見(マヤ)に囚われやすい。鞘が曇れば内側の本来の輝きは届かないのです、ヨガ(ヨガニドラ)はその鞘の曇りを取り除く練習でもあり、囚われているものさえ変化していくことに気づく練習でもあります。
ヨガニドラをするポイント
ヨガニドラは自分で行う事もできますがガイド(インストラクター)の元で行う方が良いでしょう。瞑想でもあるためうまく導いてくれるインストラクター(ガイド)が必要です。
アプリやYouTubeでもヨガニドラのインストラクションを聴く事もできますがインストラクターの生の声、非日常的な場所のスタジオで受ける事はまずいつものパターンから外れるための意識を違う方向に向ける第1歩になるかもしれません。
私たちはストレスというある種厄介な物がついてまわります。
無くなればいいのにと、思う事もあるでしょう。
しかし、ストレスというのは人間が生きていくために必要な反応なため、なくなる事はありません。でも、安心してください。ストレスは反応なので大きくなったり、小さくなったり浮かんだり、消えたり、変化します。
とは言っても「ストレス」に囚われている最中にそんな事を考えている余裕はありませんし、早くなんとかしたいと思うのは当然です。
ヨガニドラでは人間にはストレスがあり無くなるものではないが反応であり変化していくものであることを知り、「囚われている心」は自由でない状態ですが、意識の方向付けのスイッチを変えることは自由です。練習をし、「囚われている心」を解放してありのままの自分に立ち帰る練習をします。
あなたの本質を知り、本当の自由になるために解放する練習がヨガでもあるのです。
ヨガニドラの歴史
タリティーヤ・ウパニシャッドに記されているニャーサという体の部位をマントラと共に触れていく技法です、深いリラクゼーション効果があり心理学、脳科学、潜在意識の領域にもアプローチし自己改革を行うヨガでもあります。
ユダヤ系の精神科医がヨーロッパに持ち帰りアメリカでさらに構築され心理的側面からのアプローチにも有効なためソマテックやヒプノセラピーの元になっている技法ともいえます。太古からストレスはあり、「どう解放していくのか」は現代においても太古においても同じなのです。
文章:ジュンコ(Junko Tagawa)
アールユーシーヨガアカデミー代表
全米ヨガアライアンス指導時間
RYT®、RPYT®、PCYT®国内1位、RYT®国内3位
Teaching Hour1万時間以上のヨガインストラクター育成専門講師
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