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RUC YOGA ACADEMY

不安からの解放を求めて~ヨガを始めたアラサー女子の気づき~

更新日:2023年2月25日

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不安は誰もが抱くものである。


理由もなく突然不安が襲ってきたり、衝撃的なニュース映像を見たことで発作が起きてしまったり。


場合によっては、過剰な不安によって心身に異常をきたすことがある。


そのような場合は単に「不安」を抱いているのではなく、「不安症(不安障害)」という精神疾患を発症しているのかもしれない。


ヨガに救いを求める不安症の人は多いが、本当に悩みが解決するのか、それ自体が不安で一歩を踏み出せない人もいるだろう。


これから書く内容は、あくまで私自身の体験だが、不安と向き合うために参考になる要素があれば幸いである。



不安症らしき症状に悩んでいた時期


当時の私は毎日、会社に向かう満員電車の中で、

「今、大地震が来たら人の山に押しつぶされて窒息する」というイメージが脳裏に浮かんでしんどかった。


気分が悪くなって、オフィスに辿り着いてもその恐怖で仕事が手につかなかった。


ほかにもオフィスが火事になったり、通勤中に通り魔に襲われたり、嫌なイメージが頭にちらついて苦しい。


いつも気分が悪く、突然恐怖で発作が起き、毎晩悪夢を見るようになっていった。20代半ばに差し掛かった頃である。


なんとか心身を落ち着かせようと、自分の症状をインターネットで調べた結果、「全般性不安症」という病名を知ることになる。


不安や心配を抱いて、長期間にわたり集中力が低下したり、筋肉が緊張状態に陥ったりする病気だった。


医師からの確定診断は出ていないが、自分では確実に不安症を発症していたように思える。


不安症は厄介だ。寝ても覚めてもずっと不安に押しつぶされそうで、気持ちが休まらない。


精神科でうつ症状に対する治療とカウンセリングを受けて、処方箋も貰ったが、どうも効き目がない。


私はなんとなくわかっていた。

この世から悲しみ・恐怖・痛み・理不尽が消えない限り、私の不安も消えない

しかしそのようなことはあり得ない。


このまま不安に押しつぶされていては、生きていくこともままならないため、2つの行動を取って不安を紛らわした。


布団に入って身体をじっと休めるか、逆に街中をあてもなく歩いて動き回るか。


ある日、街中を歩き回っていたときに出会ったのが、今もお世話になっているヨガスタジオだった。

ヨガは身体だけでなく心の処方箋


吸い寄せられるようにスタジオに入り、主宰者のあたたかい人柄に惹かれて、そのまま入学した。


ヨガと言えば「海外女優のようなセレブが取り組むキラキラしたもの」という印象があるかもしれない。


明るい笑顔を浮かべた華やかな女性が、お洒落なヨガウェアに身を包み、完璧なポーズを披露する。


実際に海外セレブがフィットネスとして愛好しているからこそ、そのようにきらびやかなイメージを思い浮かべるのも無理はない。私も始めはそうだった。


しかしヨガに取り組むうちに、むしろ私のようにあらゆる不安におびえ、絶望している人、

「キラキラ」とは無縁の人にも、ヨガはちゃんと寄り添ってくれると知った。


ヨガには「否定」という概念がない。


うまくポーズを取れなかったとしても、「今の自分はこれが到達点だ」と客観的に認めてあげれば良いのだ。


もちろん努力する意思は必要である。

何度かポーズを試してみて、どうしても駄目なら、 「また今度挑戦しよう。今はそのときじゃない」 と考えれば良いだろう。


うつ病やパニック障害のような精神疾患を持つ人は、「自分は駄目だ。生きていても無駄だ」と悲観的に考えやすい。


だからこそヨガの「肯定する勇気」が、思考の転換に役立つ ヨガは身体を引き締めるフィットネスというだけでなく、心を癒すための処方箋でもあるのだ。


不安にさいなまれながら始めたヨガで感じた効果


正直、ヨガを始めてすぐに「人生が好転した」「ストレス・悩みが解消された」「不安症を克服した」わけではない。


人それぞれ体質や症状が異なる点で、「ヨガに取り組めば、このような効果を得られる」と断言することはできないのである。


しかし初めてスタジオの門をくぐって4年が経過した今、長期的に見て「ヨガが人生を良い方向に導いてくれた」と胸を張って言える。


自分をはじめすべてを批判的に見て、否定してばかりいたが、ヨガのおかげで「肯定する」習慣を身に付けられた


嫌な人・苦手な人に出会ったら、その人の長所をとにかく見つけ出した。


試しに長所を褒めてみると喜んでもらえて、もともと良い関係ではなかった人とも、少し気楽に話せるようになっていった。


これをくり返すうちに、自分の良いところも見つけられるようになり、ささいなことでも自分を褒めるようになった。


「今日は先輩とうまくコミュニケーションを取れなかった」と感じても、 「それに気付けただけで大きな成長」 と、とらえるようにしてみた。


結果的に自己肯定感が高まり、[自分も他者も全部OK」と思えるようになったのである。これだけでもかなり生きやすく感じられるようになった。


不安症におすすめなのはクンダリーニヨガ


ここまで読んで「ヨガを始めてみようかな」と思った精神疾患の人がいるかもしれない。


そこで少し説明したいことがある。


一口にヨガと言っても、さまざまな種類・流派のものがあり、人によって相性が異なる。


たとえばうつ病で身体を動かすのもしんどい人が、運動量の多い「パワーヨガ」に取り組んでも、すぐに疲れてしまうかもしれない。


身体を動かすのがつらい場合は、瞑想や呼吸法、あるいは眠ったまま行えるヨガニードラなど、リラックスしやすいものから始めるのが良いだろう。


少しなら身体を動かせる不安症の人におすすめなのが、「クンダリーニヨガ」。


普段は尾骨のあたりで静かに存在している「クンダリーニエネルギー」というエネルギーを目覚めさせ、上昇させることを目的としている。


「気付きのヨガ」と呼ばれており、ポーズ・呼吸法・マントラ・瞑想といったあらゆる要素が含まれる。


深く呼吸し、ポーズや瞑想に集中することで、潜在意識にため込んでいるネガティブな気持ちを解放させられる。


現代社会でさまざまな不安要素やネガティブな情報に疲れている人々にはおすすめだ。


ニューヨーク大学の研究では、クンダリーニヨガが成人の不安症を多少軽減することが明らかになった。


参考論文:

Naomi M. Simon, MD, MSc; Stefan G. Hofmann, PhD; David Rosenfield, PhD; Susanne S. Hoeppner, PhD;Elizabeth A. Hoge, MD; Eric Bui, MD; Sat Bir S. Khalsa, PhD. 2020.


簡単な動きを取り入れれば、初心者でも取り組みやすい点で、ストレス社会を生きるあらゆる人の希望になり得るヨガだと言える。


不安という「マーヤー」を手放した瞬間に見えた風景


私がヨガを始めてから、1年ほど経った頃のこと。 習慣化されていた瞑想に取り組んでいたとき、ふっと心が軽くなる瞬間があった。


気付けばまるで幽体離脱のように、自分を空の上から俯瞰して眺めていた。そのイメージは一瞬で雲のように流れ去って、嫌な気持ちや不安もすべて一瞬で流れて消えた。


一種の「ゾーン」に入ったような感覚。


正直、これ以降二度と味わっていないが、この感覚によって私は不安を「手放す」「受け流す」すべを手に入れたのである。


誰もがこのような感覚を得られるとは断定できない。ただ一定期間、毎日10分でも簡単なヨガと瞑想に取り組んでみることはおすすめだ。


外界の刺激・あらゆる不安を雲のようにとらえ、一瞬で手放してみる。そしてたった一瞬でも良いから、何も考えない「無」の瞬間を感じてみる。


これをくり返すうちに、「不安を手放す」ことを覚えていくはずだ。


無理に「不安よ、消えろ!」と意識してみてもうまくいかない。


まずはどこで取り組んでもいいので、瞼を閉じて、外界の刺激を遮断しよう。


そして「あぁ、不安だな。今、不安を感じているな」という自分の状態をも肯定してみてほしい。


少ししたら「一瞬だけ、不安を手放してみよう」と考え、青い空を流れる白い雲をイメージしながら不安も一緒に流してみるのだ。


最初はうまくいかない。 でも「ほんの一瞬何も考えず、不安を手放す」ことをくり返すうちに、不安から解放されている時間が少しずつ長くなっていくだろう。


不安から完全に解放されることは不可能だ。そう割り切った上で、「今、ほんの少しだけ、不安を手放している自分」を感じること。


これをくり返した私は今、不安は次の希望につながる人生の一部として受け止めつつ、手放せるようになっている。


ただし「希望」も永久不滅のものではない。


不安はヨガ哲学で言う「マーヤー(幻影)」の一種。幻影も希望もすべてのものは、生まれては消え去る点で共通の運命にある。


あなたがその真理を感覚的に理解して、幻影にも希望の光にも執着しなくなったとき。

前よりもほんの少しだけでも、生きやすくなっていることを願っている。





野木奈都(のぎ なつ)…RUC専属ヨガライター・SNS


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